西部総合病院 看護部長
長谷川 啓子(2014年入職)
生活の場にお返しすること、その後もしっかりバックアップすること
それが当病院の役割
当院へ赴任し、最初は回復期リハビリ病棟の整備から着手しました。まだ在宅復帰の意識を持っていなかったところから整備を進めていきました。その後、地域包括ケア病棟の立ち上げがあり、看護師が在宅を理解し、退院後の生活にどう看護を繋いでいくか、家に帰すということはどういうことなのかを皆で考え、取り組んできました。
例えば病院でよくある風景で、患者さんが一人で歩いているとすぐベッドに戻されます。そうではなく、家ではトイレにも行きたいし、歩きたい。それを理解して看護・ケアを行うために、病棟の看護師を家屋評価や、訪問看護での実習、デイの実習にも出し、在宅でどういう生活をしているかを学んでもらいました。ある看護師は、入院中のカンファレンスで、在宅は無理と考えていた患者さんが在宅復帰された家に訪問し、その患者さんがニコニコと暮らす姿を見て考えが変わりました。
生活の場にお返しする、それが当病院の役割です。そして在宅や施設で医療ニーズが高まったとき、地域包括ケア病棟や療養病棟が入院加療で支援します。また、入院患者さんを最期は自宅で看取りたいという家族もしっかりとバックアップする。
これを実現するために、当院では病棟と訪問看護、外来の訪問診療担当と訪問看護が一緒にカンファレンスをしています。外来の看護師も診療介助だけに終わらず、患者さんの生活や活動も視野に入れた支援を行っています。
在宅復帰を支え、その後も切れ目なく
必要な医療・ケアを提供できるのが当院の強み
当院の強みは、回復期病棟、地域包括ケア病棟となど在宅復帰機能、復帰後は、外来や西部在宅ケアセンター(訪問看護、居宅支援事業等)の切れ目ないサービスを行えることが強みです。
当院の退院時サマリはとてもきめ細かく作成しています。他院後の介護施設や在宅サービスで、必要なケアを適切に継続できるよう患者さんの状態や必要なケアを細やかに伝えています。こういった取り組みを続けることで、地域の介護施設や在宅サービス事業者と連携し、住み慣れた地域での生活を支援したいと思います。
また、組織の強みとして、看護部では各病棟の師長、主任が4機能の特徴を活かした病棟づくりを行っており、職員の満足度も高くなっています。定期的に職員の意向調査を行っていますが、満足度が年々向上し、離職率も10%以下となっています。主任には、現場に入り一人ひとりのスタッフの力量を見てしっかりフォローすること、手本としてケアをすることを指導しています。
「安全」と「安楽」をどう両立し
患者さんのために何ができるかを、ブレずに考え行動してほしい
「看て、聴いて、触れて、患者様の思いに応える看護を提供します」が当院看護部の理念です。
患者さんにとって最善の看護を提供すること、患者さんのために何ができるかをブレずに考え行動することを大事にしています。その中で、「安全」と「安楽」をどう両立し、患者さんの希望に応えられるかを考えることが大切です。
例えば、認知症の疾患理解ができていないと、背景を理解せず行動抑制の方向に向かってしまいます。他院でのサマリでは身体拘束が必要とされていた患者さんも、受け入れ後にしっかりと状況を見て、本当に拘束が必要なのかを評価して、必要でなければ拘束は行いません。だから当院では、入院時に包括的に身体拘束の同意を取ることはしていません。
感染対策も、医療安全も同じです。安全や防護は必要ですが、それが目的になってしまうと患者さんがおざなりになり、安易に規制と抑制ばかりの看護となります。そうではなく、患者さんの思いに応える看護を実現するために、考えるべきことは何かを、繰り返しスタッフに伝えています。
人が好き、患者さんが好き、患者さん一人ひとりに向き合った看護をしたいと願う方にとって、それを実現できる病院です。患者さんの生活や人生を踏まえた看護をしたいと思う看護師さん、看護助手さんにぜひお越し頂きたいと願っています。